地球上の全産業が、いまやAppleとGoogleに飲み込まれそうになっている。
小売業、サービス業という業界は、早くから広告手段としてのGoogleに従わざるを得ないコモディティ化の波に飲み込まれた。小売店は検索されてナンボ、ホームページから注文されてナンボ。成長したければGoogleのアクセス解析を一生懸命見なければいけない。
しかしいまや彼らは小売り、サービスならまだしも、ハードウェア、製造業をも飲み込もうとしている。
PC業界を見ればその流れの根幹は明らかだ。垂直統合していたハードを、マイコン、メモリ、周辺機器、ソフト、と全てをWintelが規格化していったことが始まりだ。
業界標準で規格化すればその通りに作るだけである。ハードメーカーにしてみればそれは差別化要素が無くなってしまうから、できるだけ避けたい。しかしある水平分業でシェアを取った会社がそれを先導してしまうと、その流れはユーザーメリットになるから止められない。PC業界ではWintelがそうだった。
果たして日本のお家芸、自動車業界はどうなるのだろうか。自動車業界にも少しずつ変化は訪れている。
(1)デンソーなど、モジュールに特化して水平分業しているメーカーが存在する。同じメーカーから同じモジュールを買っていけば同じような自動車ができてくる。
(2)動力源が内燃機関エンジンから、電気系を合わせたハイブリッド、さらには電気自動車へと変遷し、ソフトウェア、マイコンなどに依存するウェイトが増えている。
(3)ITS(高速道路交通システム)や、ナビゲーション、渋滞情報、近距離無線、事故防止センサーなど、自動車の高度化を支える技術が電気、ソフト、ネットワークへと拡張している。これらが既存の自動車会社の電気・ソフトエンジニアだけで包括できるか未知数である。
(4)電気自動車が増えてきた場合、電力供給面でスマートグリッドなど、米国主体のモジュール技術と親和性を持たなければいけない。
(5)高級車、スポーツカーなどの相対的人気が落ちてきている。町乗り、移動のための道具として自家用車が求められることが多くなり、こだわり、先進性を求めない人たちが増えている。彼らにとっては、デザイン、機械性能自体が差別化要素にならない。最低満足水準の自動車があれば、あとは価格の最も安いものを選ぶユーザー層が増えている。
このように、少し挙げただけでも、多くの分野で垂直統合から水平分業へと移行する気配が感じられる。
価格にこだわらないユーザーは、ソフト面での差別化を求めるようになる。とくに利便性、デザインといった項目が重要になる。デザインは自動車の場合垂直統合の差別化ポイントになって、垂直統合を肯定する要素になる。しかし一方で利便性は純粋なソフトウェアに依存する箇所が多くなり、ここでGoogle、Appleの出番になる可能性もある。
Googleは自動車の走行を完全自動化するソフトを開発するだろう。その規格を作成し、その規格にあった自動車をGoogle認定自動車とするはずだ。中国や韓国の自動車メーカーにその技術を採用するように働きかける。ソフト面で日本企業より低い技術の各社は、日本の自動車を駆逐するための手段としてGoogleと組むだろう。自分で運転しなくてもいいGoogleカーと、自分で運転しなければいけない日本車。コモディティ化した「単なる移動手段としての自動車」を求めるユーザーはどちらに靡くだろうか。ましてや規格化され単一モデルが量産されるGoogleカーは安いときたもんだ。
日本企業の垂直統合の頑張りっぷりが求められる。